レポートを読ませてもらった感想


15.4.8 田口 哲

レポートの体裁に関わる問題

1 テキストの丸写し

 オリエンテーションの時に「テキストにある理論を丸写しする必要はない」と言いましたが、丸写しの人がいます。実験結果の解析に必要な式の意味や、どの様にしてその式が導出されるのか、といった事についての記述は必要ですが(自分の勉強のためにも)、自分の言葉で書くことが大切です。丸写しする人は,レポートを書く事が義務的に行う単なる作業になっていると思います。レポートは報告なのですから、それを読む相手に「実験結果の考察によってわかること・言えること」を的確に伝えようとする皆さん方の意思がまず必要です。
2 「文献」リストがない
 レポートの最後に自分が参考にした(あるいは引用した)文献のリストをちゃんとつけてください。本文中に“文献より・・・・・”と書いてあるにもかかわらず、その文献を示していないレポートがあります。これでは、そのレポートの信頼性は著しく低下します。また、文献名は挙げてあっても、著者・出版社名・発行年・引用したページが書かれていないものもありますので注意が必要です。
 
3 「考察」がない 〜「考察」には自分が出した実験結果に基づいて、自分で考えた事を書く 
  実験データを書くだけでなく、自分の実験で得られたデータから、
  1. 実験は成功だったのか否か、問題があるとすればどこに改善点があるのか
  2. 自分が出した実験結果の解釈によって言えること(実験結果を使って思考した結果として言えること)
  3. 文献等で自分で調べた事と自分で出した実験結果との関わり
などを「考察」として書くべきです。「結果」と「考察」は違います。例えば,ある反応の平衡定数を実験から求めたなら,その平衡定数の値を書いて終わりではなく,その平衡定数の大小からその反応についてどんなことが言えるのかきちんと考察して書くべきです。また,感想は考察ではありません。

実験データの取り扱いに関わる問題

1有効数字を考えていない

 有効数字については、以前から口うるさく言ってきましたが、まだちゃんと理解してもらえていないようです。

 例えば、複数の物理量を使ってある物理量を求める際に、電卓を使って計算して液晶画面に表示された数値を全部書いてしまう人が今だにいます。有効数字を考える出発点は、実験によって得られた測定値です。その測定値は、「信頼できる桁数+誤差を含むであろう1桁」で表します。測定値のどの桁に誤差が含まれるのかよく考えます。それから、計算の途中の段階では、有効数値+1桁まで求めておいて、最後に四捨五入によって有効数字の桁数にします。 

2グラフの書き方
 グラフ上のプロットを「ギザギザ」の線で結んでおいて、「直線の傾きは・・・・である」と言う人がいます。線形の関係にあるプロットでは、最小二乗法を用いて、プロット間を1本の直線で結ぶべきです(相関係数が1でない場合、この直線から外れるプロットがでてくる。測定は必ず誤差を伴うものであるから)。本来、直線を書くには無限個の測定点(プロット)が必要ですが、明らかにプロット間に直線関係があると考えられる場合には、測定点というのはその無限個のプロットの中の代表点と理解します。

 また、プロットを結ぶと曲線関係が予想される場合は、「なめらかな」曲線でプロットを結びます。そうしないと、各プロットにおける傾き(微分係数)を求めることはできません。

3物理量に単位がない
 物理量=数値x単位。これに関しても何度も言ってきたことですが、単位を書かない人がいます。単位がないと、その値の意味が分かりません。
4平均をとることの意味を理解していない
 「部分モル容積」の実験でエタノール溶液の密度を測定しました。この実験で3個(1番、31番、46番)のピクノメータを使って実験をしました。各々のピクノメータの質量を測定して、その平均値を求めている人がいるのには正直言って驚きました。ちゃんと考えてレポートを書いているのか、非常に不安になります。

 これらピクノメータは、全く同じものの様に見えますが、実は質量は異なっています。液体が入っている場合の質量と空の場合の質量から、各ピクノメータの体積を算出しています。これら質量が異なると言うことは、各ピクノメータの容積はわずかに異なるという事です。

 それなのに、上に書いたような平均をしてしまっては、各ピクノメータの個性(質量の違い、したがって容積の違い)をうち消してしまうことになります。これでは、有効数値5桁で測定したことの意味が無くなってしまうでしょう。

 容積が異なるピクノメータで各濃度のエタノール水溶液の密度をだして、それを各濃度に関して最後に平均化するのです。