緩衝溶液の性質(電解質溶液)
目的
本実験では、弱酸(酢酸)とその共役塩基(酢酸イオン)からなる緩衝溶液を用いて、この緩衝溶液の組成と酸および塩基に対する緩衝能との関係について調べる。
解説
弱酸(酢酸)の水溶液にその塩(酢酸ナトリウム)を加えると共通イオン効果により弱酸の電離は抑えられ、水素イオン濃度は小さくなる。
(1)
酸の解離定数をKa(=[CH3COO-][H+]/[CH3COOH])とすると水素イオン濃度は、
(2)
により与えられるが、[CH3COOH]≒Ca(酸の全濃度)、[CH3COO-]≒Cs(塩の全濃度)と近似しても差し支えない。したがって、この混合溶液の水素イオン濃度は、
(3)
(4)
と近似できる。この混合溶液を希釈したり少量の酸やアルカリを加えても、溶液のpHは僅かしか変化しない。このような溶液を緩衝液( buffer solution )という。その作用はCaもCsも大きく、Ca/Csが1に近いほど強い。
実験装置および試薬
pHメーター、ビュレット、メスシリンダー、ビーカー、スターラー、100ml・200mlメスフラスコ、0.5M CH3COOH、0.5M CH3COONa、0.1M HC1、0.1M NaOH、pH標準溶液(pH 4.01, 6.86)
実験方法
- pH6.86および4.01の溶液を用いてpHメーターを校正する*。
- 0.5M CH3COOHaqおよびCH3COONaaqを各々 (a) 33ml : 33ml (b) 60ml : 6ml (c) 6ml :60mlをとって混ぜ合わせた溶液を作る。
- 2で調製した緩衝溶液(a)の1/2量をビーカーにとり、スターラーで溶液を撹拌しながらpHを測定する。
- 緩衝溶液(a)にビュレットを用いて0.1M HClaqを1mlずつ滴下し、その都度pHを測定する。
- 緩衝溶液(a)の残り1/2量を別のビーカーにとり0.1M NaOHaqを1mlずつ滴下し、その都度pHを測定する。
- 緩衝溶液(b)および(c)についても同様の操作をおこなう。
結果の整理と課題
- 緩衝溶液について説明せよ。(なぜ弱酸とその共役塩基からなる溶液が酸および塩基に対して緩衝作用を有するのか?)
- 各緩衝溶液について酸およびアルカリ滴下量に対してpHをプロットせよ。
- 酸・アルカリ滴下前の緩衝溶液の測定pHと(3)式より算出したpHとを比較せよ。
- pH=pKa付近のpH変化とそれ以外のpH領域でのpH変化を比較して、この緩衝溶液の有効pH領域について考察しなさい。
- 調整した三濃度の緩衝溶液のうち、(A)酸のみに対して(B)アルカリのみに対して(C)酸・アルカリ のどちらに対しても最も有効なものをそれぞれ選び、その理由を答えなさい。
- pHメータによるpH測定原理を述べなさい。
*pHメータの校正法
- 電源プラグをさし込み、pH/mV切り替えスイッチがpHになっていることを確認し、AUTO/MANU切り替えスイッチはAUTOになっていることを確認する。
pHメータ
pHメータ操作パネル
- 複合電極の下に空ビーカーをおいて脱イオン水を吹き付け洗浄する。
複合電極
- 小ビーカーに中性リン酸pH標準溶液を入れ、これに複合電極を浸す。
- TEMPスイッチを押して、温度を測定する。次にREADスイッチを押し値を読みとる(ここで、EXPスイッチを押すと小数点以下の値を拡大表示できる)。
- 下に上げた表から測定した温度における中性リン酸 pH 標準溶液の示すべきpH値を確認し、STDつまみを回してそのpH値に正確にあわせる。あわせたら、ふたたびREADを押してスイッチを必ず切る(そうしないと故障する可能性あり)。
- 再び脱イオン水で電極を洗浄する。
- フタル酸水素カリウムpH標準溶液を小ビーカーに入れ、これに複合電極を浸す。
- TEMPスイッチを押して、温度を測定する。次にREADスイッチを押し値を読みとる。
- 下に上げた表から測定した温度におけるフタル酸水素カリウムpH標準溶液の示すべきpH値を確認し、SLOPつまみを回してそのpH値に正確にあわせる。あわせたら、ふたたびREADを押してスイッチを必ず切る。
- 再び脱イオン水で電極を洗浄する。
- 先ほど用いた中性リン酸pH標準溶液のpHを再び測定し、はじめにあわせた値が表示されたら校正は完了である。
- 正しい値を示さない場合は、正しい値を示すまで3~10を繰り返す。
pH標準溶液の温度依存性