藤井修士論文


  1. テーマ:理科教育における物理量の指導法の問題点とその改善について
  2. 目的
     
     ・自然科学は,主に,何らかの“測定”を伴う実験によって自然の仕組みを明らかにする学問
      である。
     ・その研究成果を学ぶ小・中・高理科においては,測定のもつ意味を児童・生徒が理解するこ
      とが,「理科が本当にわかる」第1歩であると考える。
     ・しかしながら,現行の理科教育カリキュラムでは,“測定”および“単位”の持つ意味があ
      まりにもおろそかにされている。
     ・これが,生徒・学生の物理量に対する認識を曖昧にしており,これが「定量的考察を苦手」
      とする生徒・学生を生み出している可能性が高い
     ・問題の本質は,算数・数学教育にあるのではないか
     ・さらに,算数・数学(数を扱う教科)と理科(量を扱う教科)との違いを,理科の方が明確
      にしてこなかった
     ・その為に,“物理量”に対する認識を甘くしてしまったのではないか

     以上の事を文献(教科書を含む)および生徒・学生の実態調査から明らかにするとともに,物理量に関する学習教材およびカリキュラムの改善について提案する
  3. 研究の背景
    1. SI単位と物理量
      M. L. McGlashan著 SI単位と物理・化学量 化学同人 を読み込む
      1. 物理量とは何か
         物理量と測定
          ・基準の何倍か?を測るのが測定
          ・基準の取り方は人為的
      2. 単位
         SI単位・表記法
      3. 数と量との違い
      4. 物理量と単位との関係
      5. グラフの座標軸と単位
    2. 現在までに行われてきている研究および議論の総括
      1. 上越教育大学 森川氏
      2. 日立一高 根本氏
      3. 教育現場(主に,中高教員・大学教員)の意見
        ・理科教育メーリングリストの議論を追跡
        ・ホームページを検索
  4. 理科教育における物理量の取り扱いに関する調査
    1. 調査1:文献(教科書を含む)からみた理科・数学(算数)教育における単位の取り扱い
      1. 初等・中等理科教育における物理量の導入法とその取り扱いについての調査 〜特に,測定の意味と単位の取り扱いについて
        1. 現行の学習指導要領
        2. 小学校・中学校理科の教科書,高等学校物理・化学の教科書
          本文・演習問題中の式・グラフ・表
        3. 小学校算数の教科書,中学校・高等学校数学の教科書
          本文・演習問題中の式・グラフ・表
        4. 小・中学校算数・理科で使用する学習参考書・ワークシートの類
        5. これらに関して出版年で違いが見られるか?
      2. 高等教育(大学)における物理量の導入法とその取り扱いについての調査
        1. 日本で出版されている(訳本を含む)物理学・化学の教科書について調査
          本文・演習問題中の式・グラフ・表
        2. 初版出版年の違いで影響があるか?
        3. 訳本と日本人執筆本とで優位の差があるか?
    2. 調査2:実態調査
      1. 生徒および大学生の物理量認識についての実態調査
        1. 大学生の場合
          式中に単位をつけて計算しているか
          比例式を使っていないか
          単位に括弧をつけていないか
          左辺無次元ー右辺次元あり,という誤りをおかしていないか
        2. 高等学校生徒の場合
          式中に単位をつけて計算しているか
          比例式を使っていないか
          単位に括弧をつけていないか
          左辺無次元ー右辺次元あり,という誤りをおかしていないか
    3. 調査1および調査2から結論されること
      1. 生徒・学生の物理量に対する認識を曖昧を甘くしている原因はどこにあるのか?
      2. 理科の教育現場での考え方と自然科学の研究者の考え方は違ってもいいのか?
      3. あまり式の事をうるさく言うと「ますます理科離れが進む」のか?
    4. 算数・数学教育と理科教育との接続の問題
      1. 数を扱う学問である数学と量を扱う学問である理科とのギャップ
         算数は単位の扱いが中途半端
           ・計算では,物理量のうちから数だけを抽象化
           ・しかし,「答え」には単位をつける
      2. このギャップをどう埋めるか
      3. どう協調する?それとも対立?
  5. 2002年から始まる新学習指導要領下で児童・生徒の物理量の認識は改善されるのか?
    1. 新学習指導要領(理科関係)についての分析(現行のものと比較)
    2. 改悪される可能性はないのか
  6. より好ましい「物理量観」を身につけさせる為のカリキュラム試案の提示
    1. 小・中・高等学校理科教育のどの段階で物理量を意識した指導を行えばよいのか
    2. 高等学校の現場での実践
      1. 化学の授業の中で
        1. 物質量
    3. Web上での教材作成 〜インターネットを使っての配信
      1. Shockwaveを使ってマルチメディア教材を作成する
        物理量とは何か・測定とは何かが分かるような教材
        インタラクティブな教材

トップに戻る